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 1.自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)

(1)自賠責保険の概要

自動車損害保障法(自賠法)で、原則としてすべての自動車と原動機付き自転車は、自賠責保険を付けなければ運行できないことになっています。このため、強制保険とも言われています。

自賠責保険は、自動車事故の被害者救済と、加害者の賠償能力を確保することを目的として作られた保険です。保険金が支払われるのは対人賠償事故に限られています。

つまり、加害者である被保険者が、自動車で他人を死亡させたりけがをさせて、法律上の損害賠償責任を負担した事故の場合に保険金が支払われます。

1.自賠責保険の被保険者

自賠責保険の被保険者は、自動車の保有者と運転者です。保有者とは、その自動車を使用する正当な権利を持っている人のことで、通常は所有者または使用者です。

例えば自動車泥棒をして運転していた人が事故を起こしても、自賠責保険の被保険者ではないため、自賠責保険からは保険金が支払われません。

自賠法上の運転者とは、他人のために自動車の運転または運転の補助をする人です。運転者が賠償責任を負った場合、保険金が支払われます。

なお、「他人のために自動車の運転または運転の補助をする人」とは、業務中の雇われドライバーなどを指しています。

2.保険期間

保険期間は、車検期間に合わせてもしくは車検期間+1ヶ月で設定します。

車検の対象外の軽自動車と原動機付き自転車は、12ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、48ヶ月、60ヶ月のいずれかの期間で設定することになっています。

なお、保険料は、自動車の用途や車種、保険期間によって決まります。

3.支払い限度額

加害車両1台について、被害者1人あたりの保険金額(支払限度額)は決まっており、死亡については3,000万円、後遺障害についてはその程度により75万円〜3,000万円(第1級で常時介護を要する場合は4,000万円)、傷害については120万円ですが、1事故あたりの限度額はない。加害車両が2台以上の場合は、それぞれの車について、被害者1人につき、最高で保険金額(支払い限度額)まで支払われます。

死亡事故
(1)死亡による損害(将来得られるはずの収入、葬儀費、慰謝料を一括)に対して:1名につき3,000万円まで
(2)死亡に至るまでの傷害による損害に対して:1名につき120万円まで
傷害事故
(1)傷害による損害(救助捜索費、治療関係実費、治療期間中の休業補償費ならびに慰謝料等の合計)に対し
1名につき120万円まで
(イ)慰謝料(休業損害がある場合):1日につき4,100円
(ロ)休業補償費:1日につき5,500円
ただし、それ以上の休業損が証明しうる場合は1日につき、1万9,000円を限度として実費補償
(2)後遺障害による損害に対して、障害の程度に応じた等級(14等級ある)により、1名につき
第1等級:最高3,000万円(常時介護を要する場合は、最高4,000万円)
第14等級:最高75万円
●後遺障害に至るまでの障害は(1)に含まれる

4.保険金が支払われない場合

保険契約者または被保険者が悪意によって被害者にけがをさせたり死亡させた場合は、自賠責保険から被保険者に対して保険金は支払われません。

この場合、被害者は直接保険会社にその損害を請求することができます。保険会社は、支払った金額について政府に対して賠償を求め、政府は保険会社に支払った金額を加害者に求償することになります。

5.事故が起きた場合

自賠責保険の保険金額(支払い限度額)は、保険期間中に何度事故を起こしても減額されません。

また、保険金の請求は、加害者(被保険者)だけでなく、被害者の側からも請求することができます。

保険金を保険会社に請求できる期限は2年です。期限を過ぎてしまうと時効となり、請求権はなくなってしまいます。もし、何らかの事情で時効になる恐れがある場合は、保険会社に対して時効中断の申し出をして確認を受けておきましょう。

なお、自賠責保険と任意の自動車保険の保険金一括払いという制度があり、現在ではこれが一般的です。

保険金の一括払いとは、任意の自動車保険の対人賠償保険を引き受けている保険会社が、自賠責保険の保険金も対人賠償保険の保険金と一緒に支払うというものです。この場合、自賠責保険の請求権は保険金を支払った保険会社に移行します。

なお、保険金の一括払いの請求は、加害者(被保険者)、被害者のいずれからも請求することができます。

(2)政府の保障事業

ひき逃げにあったり、盗まれた車による事故など、自賠責保険で補償されないケースで死傷した被害者を救うため、政府は損害賠償補償事業を行っています。

政府の保障事業の窓口は外国保険会社を除く損害保険会社で、どの保険会社でも受け付けています。支払い限度額は自賠責保険と同額となっており、社会保険から給付が受けられる場合は、その給付の範囲内については支払われません。

政府は保障事業により支払ったのち、加害者にその額を請求することになります。

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